鬼の目にも慕情
4.喫茶店に眠る秘密
《小澤》
廊下の向こうから歩いてくる榊副隊長を発見。
さっと身を隅に寄せて声をあげる。
「榊副隊長、お疲れ様です」
「お疲れさま。小澤、最近調子はどうだ?」
休日だろうとなんだろうと、この寮で上官、先輩に会ったらまず大きな声で挨拶。道を譲る。
これは絶対に破られない規則。

「調子、ですか。特に、変わりはありませんが」
「そうか。柿原と組むのもなかなか大変だろ?
何かあれば、すぐに相談しろよ」
「ありがとうございます」
なんだ、この優しい生き物は。
本当に柿原隊長と同期なのか?
最近柿原部長に怒鳴られすぎて、感覚が麻痺してた…。

「そうだ。これから出かけるんだが、一緒に来ないか?」
「はい!ご一緒させていただきます!」
この人がペアの相手だったらどんなに幸せだったか。
行き先なんてどこでもいい。
あぁ、心があったかい。燃えるようだ。
榊副隊長の優しさに、俺の心は火傷寸前だよー!
< 20 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop