鬼の目にも慕情
そこに、いらっしゃいませ、という柔らかい声が聞こえてきた。
俺らに言われたのか?

そこに立っていたのはエプロンをかけた若い女性。
この人、店員さん?
うわぁ、美人だな…。
…。
…。
やっべ、ぼーっとしてた。いくらなんでも見惚れすぎだ。

「昨日ぶりですね、榊さん。こちらは?」
あれ。榊さんの知り合い?
昨日ぶりって、本当にかなりの頻度で通ってるんだな。
「少し前から一緒に働いてる小澤。こちら、この喫茶店の店員、八城さん」
「初めまして!小澤竜聖と申します」
つい、いつもの声量であいさつしてしまい、苦笑いされる。その苦笑いですら美しい。
なるほど。榊副隊長も隅に置けないな。
「ご注文はお決まりですか?」
「俺はホットコーヒーで。小澤は?」
「俺も、同じのお願いします」
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