鬼の目にも慕情
しばらくすると、レトロなカップに淹れられたコーヒーが運ばれてきた。
そんなコーヒーとともに、ごゆっくり、なんて言われたら、一日中でもここにいてしまう。

「気になるか、彼女の事?」
心を読まれた!?
このなんでも見透かすような瞳に真っすぐ見つめられたら、つい本音を言ってしまいそう。
同じ自白でも、柿原隊長からの威圧と比べると大違いなんだけど、これはこれで怖いぞ。
「い、いえ、ただ綺麗な人だなって」
「だな。
彼女が人妻になったときには、ここの常連はかなり落ち込んだはずだ」
「え!人妻!?結婚してるんですか!?
でも指輪してなかったですよ!?」
おっと、左手薬指を確認するくらいには本気で狙おうとしてたってことがばれてしまった。
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