鬼の目にも慕情
5.鬼の隊長と愛妻家
《柿原》
これは偶然じゃない。必然でもない。
また余計なことしやがったな。
部屋にいない榊を探して寮中を歩きまわった後、再び部屋に戻ってきた。あいつ、俺を巻くつもりだな。
だったら部屋の前で待ち伏せだ。
「あれ、柿原。こんなところで何してんだ?」
やっと戻って来たか。コーヒー豆の袋を抱えて。
「何企んでる?」
「あー、ははっ。小澤はただ荷物を届けてくれただけだよ。何をそんなに怒ってんのさ」
そんなはずあるか!
榊が歩けばそこには何かしらの計算が成り立つ。榊が生きてるということは、そこに何かしらの企みが働いているということ。
だから今回だって、ただ小澤にコーヒー豆を届けさせた訳じゃないことは簡単に察しが付く。
だって…。
「由乃が働いてる喫茶店の袋だろ。なんであの店の物を小澤が持ってるんだよ」
「さすがだね。そんなに気になるなら、その場で小澤に聞けばよかったのに」
「いくら小澤でもそんなこと聞かれたら怪しむだろ」
「もう教えてあげてもいいと思うけど」
ったく、やっぱりな。全部わかったうえでの愚行か。
これは偶然じゃない。必然でもない。
また余計なことしやがったな。
部屋にいない榊を探して寮中を歩きまわった後、再び部屋に戻ってきた。あいつ、俺を巻くつもりだな。
だったら部屋の前で待ち伏せだ。
「あれ、柿原。こんなところで何してんだ?」
やっと戻って来たか。コーヒー豆の袋を抱えて。
「何企んでる?」
「あー、ははっ。小澤はただ荷物を届けてくれただけだよ。何をそんなに怒ってんのさ」
そんなはずあるか!
榊が歩けばそこには何かしらの計算が成り立つ。榊が生きてるということは、そこに何かしらの企みが働いているということ。
だから今回だって、ただ小澤にコーヒー豆を届けさせた訳じゃないことは簡単に察しが付く。
だって…。
「由乃が働いてる喫茶店の袋だろ。なんであの店の物を小澤が持ってるんだよ」
「さすがだね。そんなに気になるなら、その場で小澤に聞けばよかったのに」
「いくら小澤でもそんなこと聞かれたら怪しむだろ」
「もう教えてあげてもいいと思うけど」
ったく、やっぱりな。全部わかったうえでの愚行か。