鬼の目にも慕情
「小澤さんって、良い人だよね。
一生懸命って感じで」
「それどういう意味?」
小澤が褒められてるってことでいいのか?
なんてことだ。
「この前は榊さんへのお使い頼んじゃった」
あー…、例の事件か。あの一件がなきゃ、榊の計画に気づかなかった。
「そんなに店に来てるなら、どうして教えてくれなかったんだよ」
「うちのお店、翔太君の会社の人時々来てくれるし、まさか小澤さんが翔太君と仲が良いなんて思わなかったから」
「仲良くないよ。仕事上顔を合わせる機会が多いってだけだ」
「えー?」
ニヤニヤと首を傾けている。つられて俺も傾いてしまう。
何を疑われてるんだか。小澤に対しては怒鳴ってしかないんだぞ。断じて仲良くなんてない。
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