鬼の目にも慕情
6.恐怖の鬼ごっこ
《小澤》

そっと寮を出て辺りを見回す。
「オールクリア」
標的はいない。大丈夫みたいだ。

寮から会社までの道は異常なし。
会社についたからといって気は抜けない。
柱や壁に身を隠しながら3階の訓練室まで向かう。
よし。今のところ順調だ。

早朝の訓練室には…、誰もいないな。
「こんな時間にいる方がおかしいか」

寮にいてもなんだか落ち着かなくて、ついついこんな早くから来てしまったよ。
昨日から、柿原隊長は俺を探しているらしい。
でも、俺はその呼び出しを無視し続けている。
理由は単純。行ったら怒られるに決まってるからだ。
普通に仕事してても視線を感じるし、寮にいても、同期から「柿原隊長がお前のこと探してたぞ」と言われる始末。
いい加減にしてくれ!
こっちは悪夢にうなされるようになったんだ!

とにかく、今日は任務までここで時間を潰しておくしかない。
< 39 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop