鬼の目にも慕情
「お、おはようございます。早いですね」
「そうでもねーだろ。9時前だぞ。
なぁ、お前は…」
え、なんだ?
また説教?
「…」
なに?
そんな、じっと見られても、俺は白状することなんてありませんよ。
いっそ、一思いにやられたほうがいいんですけど…。

「いや、何でもない。忘れろ」
え!?
忘れられない!
「気になるじゃないですか。言ってください」
「何でもない」
「柿原隊長!」
「何でもないって言ってるだろ!」
えぇ…、キレられた。
なんで!?
「そ、そうですよね。じゃ、俺はそろそろ…。任務前のミーティングもありますし。失礼します!」
他のペアなら、このように相手と遭遇した時、トレーニングを共にして結束力を深めたかもしれない。競い合って、お互いを高め合おうとしたかもしれない。
でも、俺はペアの相手が来たら一目散に逃げると決めてる。
変だと思われるだろうか。
でも、今回に限っては、おかしいのは俺じゃない。だよな?
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