鬼の目にも慕情
現実の夢の狭間で、天海に適当に話しかける。

「柿原隊長、今日は用事があんのか知らないけど、すっげー早く帰ったんだ」
「そうみたいだな。さっき帰宅する柿原隊長見たよ。
奥さんでも待ってるんじゃないか?」
…ん?
奥さん?
何言ってんだ?
どっちが寝ぼけてんのかわかんねーな。

「それを言うなら、せめて彼女だろ。
あの柿原隊長に彼女がいるとも思えないけどな。
仕事に対してストイックなのは認めるけど、そういう人って他人にも厳しいじゃん。それは俺らが身をもって証明できるだろ?絶対女性相手でも容赦ないって。
まぁ、ちょーっと顔が良いから他の部署の女性からは多少人気があるのかもしんねーけど、それも本性知ったら離れていくって」
そんな柿原隊長が結婚なんて夢のまた夢。
もしも、今後結婚するなら、相手の顔を見てみたい。あの人についていけるなんて、人生捨てるつもりなんだろうか。

「柿原隊長って、本当に独身?
さっき会社出ていくとき、結婚指輪してるように見えたんだよな。一瞬だけだったから、見間違いの可能性も捨てきれないけど、あれはたぶん…。
職場で外してるってことは、少なくとも俺らには秘密にしておきたいってことだろうから、確かめるなら小澤にって思ったんだ」
は?
思わず体起こしちゃったじゃんか。
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