鬼の目にも慕情
「どうして寮を出てるんだろう。
柿原隊長の同期は、寮で生活してる人が多いだろ。榊副隊長だってそうだ。柿原隊長だって、少し前まではここで生活してたんだろ。上官は1人1部屋与えられてるし、会社までも近い。食堂だってある。
そんな快適な寮を出ていく一番の理由は…」
「結婚して奥さんと一緒に住むことになったからって言いたいの?」
「他に理由がある?」

そりゃあるだろ!
どうせ、寮での生活が嫌になったんだって。単独行動しかできないような人だもん。協調性ゼロだもん。
いつ寮を出て行こうずっと考えてたはずだ。
そんな人が結婚なんて笑わせてくれる。
鬼みたいな人が女性に優しくできるもんか。
俺だって彼女いないのに…。
それは関係ないだろ!別に、悔しくなんかないし!
でも、寮を出て行ったタイミングは気になるな。
どうしてこのタイミングで?
「いや!まだそうとは決まった訳じゃない。
俺は、物的証拠が出てくるまで信じないからな!」
こうなったらとことん追求してやる。
考えすぎだったろって、声を大にして言ってやるからな!
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