鬼の目にも慕情

”小澤。昨日のことは黙ってろよ”
急に聞こえてきた個人無線への指令。
「え…」
急に話題にしてきたよ、この人。

ふぅ。
そうですか。柿原隊長も覚悟が決まったんですね。いいでしょう。はっきりさせようじゃありませんか。
黙っておくかわりに…、って名目で、俺は柿原隊長相手に取引を持ち掛けられる。
圧倒的に有利な立場で。

あれ。でも昨日、天海には喋っちゃったな。
まぁでも、あれは不可抗力だよな。
”まさか、喋ったのか?”
早っ。
バレるの早っ。
「いや、まさか…」
”任務後話がある”
「…はい」
ですよね。そうなりますよね。
俺が柿原隊長の弱みを握るなんて、100万年早いってことですよね。僅かな光は、砂漠で見るオアシスだったな。あっという間の形勢逆転だ。
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