鬼の目にも慕情

「好きなところは…、たくさんありますよ」
「たくさん…？
やっぱ、これ以上は大丈夫です」
「なんだ小澤、もういいのか？」
「上司の惚気場面を間接的に聞いても、なんとも言えなくなるといいますか…、正直、想像したら仕事に支障が出そうといいますか…」
奥さんにデレてる柿原隊長を見たくないかと言われたら嘘になるんだけど、それを見るまでには、心の準備は必要不可欠。
商店街の時みたいに不意打ちでこられたら、今度こそ俺は再起不能になる。

「上司と部下って関係は、難しいところもあるよな」
「小澤さん、これからも主人をよろしくお願いします」
あー…。なんてこった。
八城さんにこんなことを言ってもらえる柿原隊長って。
もう立ち直れない…。
「こ、こちらこそ。
あの…。
柿原隊長のことしっかり見張っておくので、俺のことは良い部下だって伝えておいてください！」
「はい、任せてください！」
よし。良く言った、俺。