鬼の目にも慕情
「八城さんの口からそんな話したら、柿原が嫉妬するんじゃないのか?
あぁ見えて嫉妬深いからな」
「まさか。大丈夫ですよ」
軽く笑ってカウンターに戻った八城さん。こっちの声が届かなくなったのを確かめて、榊副隊長はひとつ溜息をついた。
「八城さんと喧嘩した時の柿原、かなり機嫌悪くなるから気を付けろ。
八城さんはああ言ってたけど、うちにいるどの夫婦も比べ物にならないくらい、あいつの嫉妬心は深く暗いからな。
八城さんと仲良くなってるって思われたら、何してくるかわかんないぞ」
「え…。え!?そういうことは早く言ってくださいよ。
柿原さんが嫉妬に狂ったら、俺どうなっちゃうんですか」
「そうだな。任務のどさくさに紛れて始末されるかもな」
「こわっ!」
柿原隊長ならそれくらい簡単にやってのけそうだよな。怖すぎるだろ。

とにかく今後、この夫婦には末永く幸せであってもらわないとな。
そうじゃないと、俺の平穏ではないがそれなりの生活が脅かされてしまう。
これ以上、危ない橋は渡りたくないんだ。
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