鬼の目にも慕情
誘った男がクズなのは当然だ。万死に値する。
でも、なんで…。
なんで女性は流されてしまったんだ…。
そんな男と一晩過ごしたこと、一生後悔することになるんだぞ!
「翔太君?」
由乃が参加するのは高校の同窓会って言ってたよな。全員が集まるのは卒業以来だって。
ってことは、そこには当時由乃のことを好きだった奴もいるんじゃないのか?
そいつは、久しぶりに会って何を思うんだ?
もしかしたら、今からもう眠れない夜を過ごしてるんじゃないのか?
“あの頃よりも綺麗になったね”
“実は俺、八城さんのこと好きだったんだよね”
そんなことを言いやがるのか?
それはどこのどいつだ!
俺の前に出て来い!
「翔太くーん?」
「駄目!やっぱ駄目!
行かないで―!」
俺が行けないんだったらすがってやるー。
「ちょ、翔太君!?
そんなに心配しなくても大丈夫だって。お土産も買ってくるし、あ、あと、連絡もするから。
…あ」
ようやく由乃もドラマの状況に気づいた。