鬼の目にも慕情
「なんかお前、榊副隊長に似てきてないか?
その何もかもを見透かしたようなところ」
「それ、柿原隊長にも言われたな。自分ではそうは思わないけど…。
そういう小澤は柿原隊長に似てきてるんじゃないのか?」
「似てないよ!やめてくれ」
ありえないって。どこが似てるっていうんだよ。ないない。
よりにもよって柿原隊長に似てるとか、ありえないだろ!
って、今はそんなことどうでもいい。

「お前のせいで話がだいぶ逸れた!
それで、八城さんはなんで家出したんだよ」
「だから詳しくは知らないんだってば。そんなに気になるなら柿原隊長に聞いたら?」
「殺されるだろ」
命と引き換えにして聞けとでもいうのか?
こんなところで死にたくないよ、俺。
俺が八城さんの名前出しただけで睨みつけられるんだから。
嫉妬深いんだよ、あの人。
「でも、奥さんが戻ってこないと柿原隊長の機嫌は戻らないまま、なんだろ?」
「…確かに」
こうなると、聞くも地獄聞かぬも地獄。
究極の選択だ。
< 81 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop