鬼の目にも慕情
「俺の代わりに聞いてくんない?」
食らえ、お願い攻撃!
特に年上の女性には効果抜群のこの上目遣い。こんな可愛くお願いされたら断れないだろ!
「断る。俺は命を粗末にしないタイプなんで」
俺だってそうだよ!
でも、そうだよな。
上目遣いしたところで、こいつ、男だしな。
それに、人の心、あったもんじゃないもんな。
とにかく、八城さんが戻ってきてくれないと俺の平穏な日常は訪れない。
いや、今までだって平穏なんてなかったけど…。

行くか。やるしかない。
任務だと思えば少しは気が軽くなる。なんだか行ける気がしてくる。
それに、ここで柿原隊長に話が出来れば俺は一段と大人の男になれるってもんだ。
ペアで働く以上、あの人はいつまでも大きな壁として立ちはだかるんだ。だったらさっさと崩してしまおうじゃないか。
今なら寂しがってる柿原隊長が拝めるかもしれないし。
「決意したような顔してるな」
「あぁ。下剋上だ!」
「そのテンションの変わり具合が恐ろしいんだけど。情緒不安定なの?」
言ってろ。
こういうのは勢いが大事なんだから!
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