鬼の目にも慕情
「今なんて言った?」
やっべ、この人瞳孔開いちゃってるよ。完全に俺を消すつもりだ!
「だ、だって…。
奥さんが家出したから柿原隊長不機嫌になってるんですよね?
そんなの俺、耐えられないですよ。
いつもなら、怒鳴られて、走って来いって言われて終りなのに、こんな無言で胸ぐら掴んでくるなんて!やっぱどうかしてますよ!
八城さんに出ていかれて相当ショック受けてるんじゃないんですか?」
「そろそろ黙れ」
く、苦しい。
死んだような目で口を押さえこまれる。

「あははっ。
大丈夫だよ、小澤。八城さんは同窓会があるから地元に戻ってるだけで、明日には帰ってくるから。
そしたら柿原も元通りになる」
「え?同窓会?
家出じゃないんですか?」
「数日家を出てるって意味では家出だけどね」
はぁ??
同窓会って、どういうことだ?
なんでそれくらいでここまで不機嫌になってんの?
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