鬼の目にも慕情
「柿原も心配しすぎなんだよな。同窓会で八城さんが狙われないかって不安になってんの」
「それくらいのことで!?」
思わず口に出てしまった。
いくら新婚だからって、どこまで心配性なんだよ。奥さんのこと溺愛かよ。
「だろ?
小澤からも言ってやってよ。朝から連続でメッセージ送りまくって、ついに既読スルー食らってんだよ。
それで落ち込んでるんだって」
「お、落ち込んでるようには見えないですけどね」
今にも奥さんの実家に飛び出して行きそうな勢いですよ。
こんな夫がいるって知ったら、怖くて誰も手出しできないでしょ。
冗談でだって無理だ。

「ま、八城さんが家にいないときは、これが柿原の通常運転だから仕方ないと思って付き合ってやって」
まじかよ。
だったらできるだけ八城さんには家にいてもらわないと。
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