鬼の目にも慕情
《小澤》

聞こえる。
はっきりと聞こえるぞ。
こういう面倒な案件は小澤に任せて、自分は休んで奥さんとのツーショットの写真でも眺めながら時間をつぶそうっていう心の声が。

あーもう。まじかよ、最悪だ。なんでこんな奴の護衛につかなきゃいけねーんだよ。
ってか、柿原隊長が離れるのって対象を大学に送り届けたとじゃなかった?
なんでもういないの?
なんで俺が1人で乗り込まなきゃいけないんだよ。

案の定、完全に舐めれてますよ、俺。
絶賛モラトリアム中の大学生に心の底から舐められてます!

派手な金髪、いちいち絡んでくるうざい喋り方、一切スマホから目を離そうとしない依存っぷり。
殴っていいかな。
「いやー、やっと女の子たちに返信しおわったわー。俺が返さないと嫉妬する子が出てきちゃうから、大変なんだよな。
お兄さんにはわかんないだろうけど」
「へー、そうなんですか」
うっさいな!
俺だって彼女がいたことくらいあるっつーの!
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