コーヒーのお味はいかが?
それにあたしは誰かを傷つけてまで、恋愛したいと思わない。

どんなにいい男に言い寄られたとしても、好きになった人を裏切るなんてしたくない。


「あの、あたしは誰かを不幸にしてまで、恋愛したいと思わないです。ましてや、誰かを裏切ってまで」


桐原はあたしの言葉に意表を突かれたのか、驚いたように瞳を見開く。

でも、それも一瞬のことで、フッと笑みを浮かべて誤魔化す。


「勘に触ったなら、謝るよ」


桐原先生のその態度に、違和感を覚えた。

なぜと聞かれても、うまく答えられないが、強いて言うなら、桐原先生の行動があの人と似ていた。


「すいません、帰ります」


鞄の中から財布を取り出し、テーブルにお金を起き、店を飛び出す。

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