コーヒーのお味はいかが?
それから、また料理を楽しむ。

そして最後のデザートを堪能し、湊はサッサッと会計を済ませる。

奢るだけの持ち合わせはないが、「自分の分くらいは払う」と言うあたしに、「今度奢ってよ」と、湊はお金を受け取らなかった。


「桐原じゃん」


レストランを出ようとした時、声を掛けられ、振り返る。


「藤島」


湊はめんどくさそうに、相手の名を呼んだ。


「何、お前もデート?もしかして、麗奈と?」


藤島はチラッと、あたしのことを確認する。


「あ、わりぃ」


藤島は焦ったように、湊に謝罪する。


「藤島、何やってんの。謝るのは男の方じゃなくて、女の方でしょ」


女の人の言葉に、急に藤島があたしに謝罪をする。

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