狐に恋した男の子
ギユウは、人の姿をしているがその正体は狐だ。だからこそ、人に見つかるとまずい。

「ギユウ、ずっとこうしてたいな〜……」

リュウハは、ギユウに無邪気な笑顔を見せて頭をグリグリと押し付けた。



火が沈むと、村は一段と賑やかになる。流星群が見られることと、多くの食べ物が実った感謝祭が行われ、村には音楽が鳴り響き、全員での踊りが始まった。

リュウハは配られた食べ物を手に、丘へと向かう。その胸は高鳴り、今にも駆け出したかったが食べ物を手に持っているため諦めた。前にはしゃいで転んでしまったことがあるためだ。

「ギユウ〜！！」

丘の上にいるギユウに、リュウハは声をかける。星が煌く夜空を、もうギユウは眺めていた。

「抜けて来たの？」

そう訊ねるギユウに、リュウハは「僕と一緒に星を見るんでしょ？」と隣に座る。そして、おにぎりや天ぷらなどを地面に置いた。

「はい、ギユウも食べて！！」

そう言い、リュウハはおにぎりを食べ始める。塩で握られただけのシンプルなものだが、とてもおいしい。
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