狐に恋した男の子
瞳を涙で潤ませたリュウハに、ギユウは優しく微笑む。そしてリュウハの頰をそっと撫でた。

「どこにも行かないよ。あんたが大きくなって、本当に好きな人を見つけた時までここにいる」

「本当の、好きな人……?」

首を傾げるリュウハに、ギユウは空を指差した。空には、星が地上へと向かって美しい世界を見せている。

「ほら、星を見て!綺麗な流星群だよ」

「うん!とっても綺麗!!」

リュウハは目を輝かせ、流星群を見つめる。ギユウの手を恥じらうことなく掴み、「綺麗、綺麗!」と言った。

「うん、本当に綺麗……」

無邪気に笑うリュウハに、ギユウは微笑む。風にススキとギユウの尻尾が揺れた。

空に輝く流星群を、小さな恋する男の子と狐が見つめている。それは、誰にも言うことのできないデートだ。

リュウハは、この初恋が禁断の想いだということに気づいていない。人間ではなく狐を好きになったのだ。この恋が、実ることはない。
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