氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 ゼンブエイゴ……ダト!?

「全部って?」
「操作画面も実況も」
「日本語機能は」
「ない」

 日本にいれば、日本語が使えたらそれでいいと思ってきたのに。

「諦める?」

 ここにきて、壁にぶつかるとは。

 上等だ。

「勉強してやろうじゃないの」
「単語テスト。赤点で再試なんだろ」
「……っ!? なんで、そのこと」
「授業終わりに、クラスでお前だけって言われてるのが聞こえた」

 地獄耳め。

「そうだ。こんなときこそ成澤の出番かなー!」

 成澤は、アイスホッケー部の中で、赤点から一番遠い男だそうだ。

 どの教科も10位以内に入っているのだとか。

 それを本人に言ったら、

『得意科目は保健だよー。教えてあげようか? 実技で』

 と安定に気持ち悪かった。

「成澤と試合みたら。解説は完璧だろうな」

 問題は、セクハラつきってところ。

「懲りねえやつ」

 冷たくいい放つ当麻氷河。

「なにが」

 ナイスアイデアじゃない?

「井上のことで思い知ったんじゃないのかよ」
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