氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 あれは、成澤に突然うしろから被せられて。

 他に寒さをしのげるものがなかったから、防寒のために借りただけで。

「帽子借りるくらいよくない?」

 顔をあげようとして、

「――っ」

 大きな手で目隠しをされてしまう。

「……ちょっと!」

 前が見えない。

「俺が負けたら。ナリさんとデートしてた?」
「するわけないでしょ」
「それじゃあ。俺が勝ってたら。どうしてた」

 今、アイツは

「なにその質問」
「俺の言うこと。なんでも聞いてたか」

 どんな顔してるの?

「わたしに頼みたいことなんて、あるの」
「ある」
「……なに」

 ねえ。

「あ、わかった。また古文教えて欲しい――」
「バカみたいに油断するのも。甘えるのも」
「やめろって?」

 氷河くん。

「俺だけにして」

 ――どんな顔で、そんなこと言ってるの
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