氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 わたしね。

 たとえみんなが同じ柄のユニフォーム着て、同じ色のヘルメット被ってても。

 あんたのこと一番に見つけ出せる気がする。

「にわかのクセに」

 言葉とは裏腹に
 優しい声でそういった極寒男の唇が、

「ついてこれんの」

 わたしの唇に、今にも重なりそう。

「……ついてく!」
「へえ」

 氷を溶かしてやりたいのは
 こっちのはず、

 だったのに――

「はぐれんなよ」

 熱に触れた途端、とろけそうになった。
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