氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「纐纈さんになら。遊びでもいいから誘われてみてーな」

 キモいこと言うな。

「やば」

 …………え?

「今の聞いてた?」
「さあ」

 いつの間にか、教室のうしろの扉から、アイツが登校してきて。

「イヤホンしてるから聞こえてないかも」

 鞄を机に置いて、すぐにアイツは教室から出ていった。

「……エリナ」

 心配そうにわたしを見る、沙里。

「わあ。ほんとピカピカになった!」

 爪を磨く、桜。

 それぞれにスマホを見たり喋ったりしている、クラスメイトたち。

「……っ」

 わたしは、当麻氷河を追いかけた。
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