氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「井上、顔……大丈夫だった?」

 あのオッサンのことなんて、どうでもいいけど。

 腫れてたりしてそうだなと。

「ガーゼはってた」

 やば。

「歯が折れたって」

 ――――!?

「やりすぎ……」
「俺のこと。もっと大人しいと思っていたらしい」
「だろうね」
「纐纈の犬なのかと聞かれて」
「は?」
「狂犬だ、と頷いておいた」

 なんなのその設定。

「お前のマネージャーの件、それとなく話してみたら。頑張れよってさ」

 それ、あんたが相手だから、そう言うしかなかったんじゃ……?

 めっちゃビビられてない?

 それとも懐かれてしまったのか!?

「家族には話せたか」
「……!」
「帰りが遅くなること心配されたり。反対されなかったか」

 反対どころか。

 喜んでた。

「わたしがやりたいなら、やってみたらって」

 新しい世界に踏み込むこと応援してくれた。
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