氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。


 ◇


「なるほど。成澤先輩が目当ての女は、はじかれてるってわけか」

 放課後、沙里と駅に向かう。

「フジさんって何年?」
「わかんない。詳しいこと聞く前に昼休み終わったし」

 2年かも。

 成澤が、くん付けで呼んでたから。

「じゃあさ。エリナが当麻目当てってバレたら入部届け受理されないかもねー?」
「わ……わたしは」
「もちろんアイスホッケーも好きになったけど。当麻いるから決心できたんじゃないの?」

 見ていたい、と思った。

 アイツのこと。

「今朝は。あれからどうだったの」
「な、成澤とのアレなら。誤解とけたよ!」

 というか誤解もされていなかったし。

 アイツも成澤からヘンなお願いされてたし。

「そっか」

 付き合ってる――ってこと

 沙里に内緒にするの、ちょっと心が痛い。

「三角関係ってことね」
「いやいや。なに言ってるの」
「成澤先輩、どうして自分のお気に入りであるエリナのこと当麻に近づけようとするんだろうね」

 ほんとにね。
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