氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 改札をくぐったとき、

「そうだ」

 沙里の口角がキュッと上がる。

「これから、私のバイト先に来ない?」
「へ?」

 沙里のバイト先は、家と反対方向だ。

 つまり行ったことがない地域になる。

 興味なくはない。

「店長に、めちゃくちゃ可愛い友達いるって話したら会いたがっててさ」

 ――ともだち

「おいでよ」

 帰っても予定はテスト勉強するくらいで。

 うちだと怠けてしまいかねない。

 というか、つい、アイスホッケーのこと調べちゃったりしそうだ。

「ご馳走するから」

 行ってみようかな……?
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