氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 いつも立つホームと反対側に立ち、到着した電車に沙里と乗り込む。

 この電車でアイツも帰ってるんだよな。

 背が高いから目立ってそう。

 数駅先で、知らない制服の男子がぞろぞろと乗り込んできた。

「この駅の近くに男子校があるんだよね」

 と、沙里。

「そうなんだ」

 黒の学ランに派手髪の集団。

 不良校か……?

「めっちゃかわいくね?」
「お前声かけろよ」

 金髪男子が、こっちに近づいてくる。

「その制服、北園(きたぞの)学園だろ」

 だったらなに。

「俺、友達いるよ」

 ほんとかな。

「このあと予定ある?」
「……あります」
「ID教えて」

 やだ。

「緊張してる?」

 迷惑がってるんだよ。
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