氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「イガラシさん、凄かったです。ほんと。シュートのほとんどを止めてて。鉄壁!……みたいな」
「そういうスポーツだからな」
「え?」
「アイスホッケーのゴール。小さいだろ」

 そうだね。

 サッカーに比べると、小さい。

 だけどそれは、得点を左右するパックの大きさがサッカーボールよりずっと小さいから必然的というか。

 あれ以上大きいと止めるの大変すぎる気がする。

「アイスホッケーのセーブ率を知ってるか」
「いえ」

 そこまでまだ勉強してなかった。

 セーブ率?

「ゴールテンダーのセーブ率――というのはシュートを阻止する確率のことだが。サッカーなどに比べて高い。90%以上を阻止するのが理想だ」

 となると、シュートを10本うって、1点入るかどうかってことになる。

 そうだとしても。

「ビックリしました。次々にうたれるシュートを、なんて素早い反応で止めてるんだろうって」

 怖く、ないのかな。

 すごいスピードで何本もパックが飛んできて。

「見えるんですか? あの速さのパックが」
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