氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「見える」

 どれだけの動体視力と瞬発力があるんだろう。

 それも才能?

 鍛えることで、ああも伸ばせるものなのだろうか。

 話についていけない沙里だが、流れでなんとなく関係性の方は察してくれているみたい。

 なんか……不思議だな。

 男子と――それも他校の知らない先輩っぽい人と、会ったばかりでこんなに話せてる。

 ただ、アイスホッケーが好きと言う共通点のみで。

 もちろん成澤や藍さんの知り合い同士でもあるが。

 ちょっと前の自分なら考えられないことだ。


「成澤によろしく伝えておいてくれるか。おかげで楽しい時間が過ごせたと」
「はい」
「また呼んでくれ、とも」

 ヤンキーたちが腰を低くしていたイガラシさんにこんな風に言わせられる成澤って、やっぱり凄いのかも。

「イガラシさんの高校も。アイスホッケー部の活動はハードですか?」

 夜遅くに氷上練習が、あったり。

 遠征があったり。
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