氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「そんなこともない」

 イガラシさんは、言った。

 強豪校を覗くアイスホッケー部には、初心者も多いと。

「純粋に楽しむなら。高校、大学から始めても少しも遅くないスポーツだと思ってる。レベルの合うチームや仲間とやればいい」

 なるほど。

 アイスホッケーを今まで知らなかったって人も、楽しむチャンスはあるんだね。

「まあ金はかかるが」

 なにせあんなに広いスケート場を貸し切る必要があるもんなあ。

「なにもアイスホッケーに限らず、出費のかさむ趣味や習い事は、他にいくらでもある。辞めていく人間に、深夜練がキツいと続かないヤツがいるな。ガキのうちは周りの協力をどれだけ得られるかってことも重要だが。最後は、自分次第だ」
< 156 / 617 >

この作品をシェア

pagetop