氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 そういうと、イガラシさんは次の停車駅で電車から降りて行った。

「なにあのイケメン」

 沙里の目がハートマークだ。

「ああいう雰囲気ある人からの可愛いって。エリナでもドキッとするんじゃない?」
「……まあ」

 イガラシさんから言われると、けっこう、キュンときた。

「さりげなさが、いいというか。彼なりのリップサービスとしてもアリだよね」
「わかる」
「エリナはクール男子好きだよねー。当麻といい」

 そうかもしれない。

 いや、別にタイプとかは、ないけど。

 成澤みたいに鬱陶しい系の男子よりかは話しやすいというだけで。

「喧嘩強そうな感じだったね」

 うん。

 オーラがどう見ても下っ端ではなかった。

「イガラシさん。なんでやめちゃったんだろう」

 アイスホッケー。

 嫌いになったってわけじゃ、なさそう。

 むしろ今も大好きって風に見えた。
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