氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「噂通りの美少女だ。どう。一緒に仕事してみる気ない?」
「え……あの、接客業は。ちょっと」
「ふーん。意外にシャイなんだ? かわいーね。今度デートしようか」

 んん?

「店長」

 沙里がやってくる。

 お盆にのっているのはサンドイッチだ。

 それを「良かったら食べて」とテーブルに置いてくれた。

「いいの?」
「店長からの差し入れ」

 それを聞いて、

「ありがとうございます」

 白鳥さんにお礼を言う。

「どういたしまして」
「っていうか、なにナンパしてるんですか。そういう目的なら紹介しないって言いましたよね」

 ……ナンパ?

「ごめんごめん。あまりにも可愛くて。僕、女子高生は専門外だって思ってたんだけど――目覚めちゃいそう」

 ぼく!?

「だから言ったじゃないですか。エリナの可愛さは尋常じゃないって」
「でもさ。女の子って、誰にでも言うとこあるでしょ。可愛いの基準も範囲が広いし。僕の好みど真ん中とは思わないじゃん」
「私は可愛いと思った子にしか言いません」
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