氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 ポーズは指定しないって言ったわりに、

「サンドイッチ頬張ってくれる」

 めっちゃしてくるし。

「いいね。ちょっと視線はカメラから外して」

 一枚って約束のはずが何度もシャッターきってる。

 そんな白鳥さんに乗せられてるわたしもわたしだけど。

「そうそう。かわいいよ、エリナちゃん」

 ……まあ。いいか。

「次は窓の外でも眺めてみようか」

 窓の外?

 視線をガラスの向こう側に持っていくと、

「――あ」

 働くアイツの姿が、わたしの瞳に映ったんだ。

 瞬間、

「いただき」

 白鳥さんが、最後のシャッターをきった。
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