氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 そういうと、アイツが歩き出した。

 置いていかれないよう隣を歩く。

 当麻氷河が住んでいる街を一緒に歩くって、なんか不思議な感じ。

 なにを話そうか。

 このままじゃ、考えているうちに、駅についてしまう。

「そういえば。電車でイガラシさんに会った」
「……イガラシ?」
「クロスアイスのときにいた、ゴールテンダーの」
「ああ」
「ヘンなやつに絡まれたんだけど、助けてくれて。みんなビビッて逃げてったよ」

 返事はない。

「ゴールテンダーのセーブ率って9割以上あるんだってね? それ聞いて驚いたけど、たしかにイガラシさんそのくらい止めてたなって思い出した」

 相づちもない。

「成澤によろしくって言われた。久しぶりに楽しくできたって。あのヘンタイも感謝されることとかあるんだね」
「単語テストの再試は、覚えたのか」
「……へ?」
「覚えたのか」
「あ、いや。まだあんまり」
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