氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「消してって頼むことは今からでもできるけど」

 起きてしまったことは、仕方ない。

 ひとつだけ気がかりなことがある。

「たとえ店長が削除しても。一度ネット上に出回った写真が完全に消えることは……ないんだよね」

 わかってる。

 だからこそ余計に気分が重苦しくなってくる。

 別にわたしの写真があのカフェの宣伝に役立ったことは迷惑ではない。

 白鳥さん、悪い人じゃなさそうだったし。

 その分サービスしてもらおうじゃないの。

 それよりも、だ。

 あの写真がわたしだと気づいた誰かが――わたしの望まない【アクション】を起こさないかということだけが心配なんだ。

 それを考えると頭がくらくらしてくる。
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