氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 取り柄も自信もないわたしを前向きにさせてくれたもの。

 それは――……


『かわいーよね』


 偶然、街中のポスターで見かけたモデルだった。

 鋭い目をした、中学生くらいの――小柄な、長い黒髪の女の子は、まっすぐカメラに視線を向けていて。

『いじめられてたんだってね』
『それでもこんな堂々としてカッコいいなー』

 彼女は、わたしに変わろうと思える力をくれた。
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