氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 進学校を目指したのは、面倒な人間と関わりたくなかったというのが正直な気持ちだ。

 実際、小中学時代のように低レベルな嫌がらせをしてくる人は、いない。

 いや、どこかにはいるのかもしれない。

 この高校にイジメがないとは言い切れない。

 頭が良い分、陰湿で、知らないところで憂さ晴らしのような行為は生じている可能性はある。

 とはいえ、わたしの知る限りは平和なもので。

 入学時からカースト上位に君臨し、男女関係なくチヤホヤされていた。

 でも、アイツは。

 アイツだけは――……

『紙ヒコーキの折り方。おしえてよ』
『ググれば』

 異色だった。
< 188 / 617 >

この作品をシェア

pagetop