氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
窓際の席で、テスト勉強を始めてそろそろ2時間がたつ。
やればできるじゃん、わたし。
携帯をイジることもなく、集中力をきらすこともなく、はかどっている。
少し休憩するか。
テストが終わったら、写真について白鳥さんが教えてくれることになった。
アイスホッケーの臨場感ある写真を撮れたなら、会場にいない人にも魅力は伝わる。
会場まで足を運びたいと思ってもらえるかもしれない。
ところでアイツ。
……今日はバイトじゃないのかな。
ガソリンスタンドでは大学生くらいのスタッフが働いていた。
シフト聞いておけばよかった。
カノジョならある程度は把握していてもおかしくないよね?
派手なバイクに乗った男が、ガソリンスタンドにやってくる。
「……あれ?」
フルフェイスのヘルメットを脱いだ瞬間、それが、五十嵐さんだと気づいた。
すごい。
バイクの免許、持ってるんだ。
思わず見入っていると、
「単語テスト。クリアしたのかよ」
頭に重力がかかった。