氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 なんで。

「……うん」
「何点?」
「80」
「ギリギリだな」

 なんで、ここに、あんたがいるの。

 当麻氷河。

 それに――

「クリームソーダちょうだい、サリーちゃん」
「その呼び方やめてください成澤先輩」

 成澤までいるんだけど……!?

「あれれ、エリナちゃん。勉強そっちのけで五十嵐のこと見てたんだー?」
「……そういうわけじゃ」

 ちょうど今、休憩してたけど

 それまでは集中できていたんだからね?

「カッコいいよねえ。俺と氷河のシュート、なんなく止めちゃってさ」

 うん、カッコいいと思う。でも。

「目移りしちゃったりー?」
「なに言ってるの」

 それとこれとは話が別だ。

「惚れた女は大切にするタイプとみた。包容力ありそうだよね、彼。うん。乗り換えても全然いいと思うよ」

 もう黙ってろ。

「こっちおいでよ。氷河と勉強会するんだ」

 わたしが座っているのは2人がけの席で、

「後輩の面倒みるのが先輩の仕事だからねー。まとめてみてあげよう」

 当麻氷河が成澤と座ったのは、4人席。
< 211 / 617 >

この作品をシェア

pagetop