氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 ――練習?

「ひょっとして、弟もアイスホッケーしてるの?」
「まあな」
「すごい。ストイック兄弟だ」

 弟と顔、似てたりするのかな。

 会ってみたい。

 それに、昔の写真とかも、見てみたい。

「はいはーい」

 ポケットから携帯を取り出し、耳に当てた成澤。

「今から? んー。どうしよっかな」

 微かに聞こえてきたのは、女の声。

「泊めてくれるなら」

 お、お泊まり……。

「なにか買ってく? あー、うん。そうする」

 またあとで、と電話を切ると

「じゃあ俺。デートしてくるね」

 タクシーを拾って、乗り込んだ。
< 214 / 617 >

この作品をシェア

pagetop