氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。


「お邪魔……します」

 アイツの家は庭付きの一戸建てだった。

 広めのガレージがあって、中にアイスホッケーのゴールとおぼしきものが見えた気がするんだけど気のせいだろうか。

 いや、きっと勘違いなどではない。

「着替えて来ていいか」

 ここが、当麻氷河の家。

「……うん」
「あがれば」
「ううん! 玄関で待ってる」

 めちゃくちゃ緊張するんだけど。

 男の家に来たの初めてだし 。

 約束したわけじゃなく、突然来たわけで。

「遠慮しなくていい。誰もいないから」
「え……」

 いや、あのね、当麻氷河。

「適当に部屋でくつろいでて」

 そりゃあ、ご両親がいたら焦るけど

「準備できたら呼びに行く」

 誰もいないのもまた、すごくドキドキするからね……?
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