氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「また、そういうドラマあればいいのにね」

 それか、再放送とか。

 見てみたいなあ。

「漫画やアニメで流行っても影響大きそうじゃない?」

 バスケ漫画読んでバスケの練習する子供、絶対いるよね。

「それはあるだろうな」
「面白い漫画ないの? アイスホッケーものは」
「ある」

 そう言うと、アイツは本棚から一冊の漫画を取り出した。

「人気漫画家の作品なんだ。アイスホッケー漫画としても面白いし。ギャグも秀逸」
「貸して!」
「テスト終わったらな」
「……ウン」

 内容が気になりすぎる漫画を、わたしに渡す前にアイツは本棚に戻した。

 めちゃくちゃ読みたい。

「うまくメディアがアイスホッケーの人気を上げたところで、課題は山積みなんだ」
「そうなんだ。せっかく、すごい魅力的なスポーツなのにね」
「そう思うか」
「思うよ……! はやくまたプレイしてるとこ、生で見たいなってうずうすしてる。全面使った試合も、やっぱり見てみたいし」

 わたしがそう言い放ったとき

 ほんの少しだけアイツの頬が緩んだ。
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