氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 あの日

 ガソリンスタンドにアイツがいるかも、って思って。

 何度も何度も

 あの席からチラチラ眺めてただけに。

「見つけられてテンションあがったよね」
「あれが。その瞬間のショット?」
「……うん」

 気持ちを隠さず伝えるのは恥ずかしい。

 なんかいってくれ。

「っていうか。写真、見たんだ?」
「見て。保存した」

 保存までしたの?

 文句つけながらも!?

 それ、どんな顔してやったの?

「あの写真に、色んなコメントついてるの。知ってる?」
「たくさん書き込みがあったな」

 いつの間にチェックしたんだか。

 恐れていた事態には、なっていない。

 昔のわたしのことを書き込んだ人間はいないのだ。

「『恋してそう』――って書かれてた。なんでわかったんだろうね」
「そうか。あのとき……俺のこと見てたのか」
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