氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 ――ズルい

「いつもの……当麻氷河じゃない。こんなこと、絶対しそうにないのに」

 アイツの大きな手のひらが。

 長い指が。

 わたしの素肌に、じかに、触れる。

「したいよ。しないだけで」

 ほんと、ズルいよ。

「こんな風に触れたいって、思ってる」

 こっちの台詞だ。

「わたしにも。触らせろ」

 草食系代表みたいなキャラしてさ。

 とんだオオカミだな?

「……あ」

 わたしのブラウスの、ボタン。

 そんなあっさり外してくの……?

「ダメ!」

 こういうことしに来たわけじゃ、ないし。

「嫌?」

 イヤ……じゃないけど。

 でも。

「……ちょっとだけ、だよ?」

 ドキドキして仕方がない。
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