氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 おかしいな。

 こんなはずじゃ、なかったのに。

 コイツの仏頂面を歪めたいのは、わたしの方で。

 待って、わたしだけドキドキしてる!?

 なんでそんな余裕あるの。

「どこまでいい?」

 ――え?

「俺のひとりよがりには。したくない」

 氷河くんは、

「求めすぎて。お前が望んでないことまでして傷つけてしまいそうで。怖い」

 強引なようで、強引じゃない。

 ちゃんとわたしの気持ちを考えてくれている。

「どこまでって言われても。わかんないよ。……初めてなのに」
「じゃあ。これ以上は嫌だと思ったら、強めに拒否って。殴るなり蹴り飛ばすなり」

 そんなことするか。

 あんたを蹴り飛ばせる女の子って相当強いからな?

「……なに、するの?」
「続き」

 電気を消すと、手を引かれ、

「わ、」

 ベッドに押し倒されて。

「あっつ」

 氷河くんが、シャツを、脱いだ。
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