氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 窓の外からの光――街頭の明かりに照らされた氷河くんは、さすがスポーツマンといった感じで素晴らしく引き締まった身体をしている。

「腹筋、割れてる」

 写真とかでしかみたことない。

 鍛え抜かれたボディってやつ。

 ムキムキっていうか――細マッチョ。

 無駄な脂肪さ一切ついてないのだろう。

「どうやってトレーニングしたらこうなるの? マシーンとか使って?」
「今そんなハナシすんのかよ」

 逆に、他にどんな会話で間を持たせたらいいの?

「さ、触ってもいい?」
「いいよ」

 改めて思う。

 男子って、女子とは、ぜんぜん違うんだなあ。

「かたい、ね」

 薄暗いけれど、わかる。

「氷河くんが。照れてる」

 ポーカーフェイスが歪んでるってこと。

「触りすぎ」
「すごいなーって」
「腹立つ」
「へ?」
「お前も脱げ」

 ええっ……!?

「わたしはいいよ。男だと、こういうの、全然恥ずかしくないだろうけど――」
「見せろ」
「ま、待ってぇ……!」
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