氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 ――ささる?

「わっ……」

 ボタンが一番下まで外されてしまう。

「あんまり、じっと見ないで」

 いくら電気消したからって目が慣れてきて見えてる……だろうし。 

「ええっ!?」

 アイツの骨ばった手が、

「やめ……」

 ――――胸に。
 
「お前だって触ったろ」
「わたしはいいの!」
「カウンター」
「……っ」

 なんか。

 手つき、が。

「とめて」
「やっぱお前。……可愛いな」

 ――――!!

「……ちょ、」

 ハグ――というよりは、のし掛かられてしまった。

「やわ」
「っ」

 いやいやいや。

 密着……しすぎ……でしょ?

「いつも言わないクセに」
「なにが」
「可愛いとか」

【やっぱ】って、なに。

「俺が言わなくても。言われてるだろ」
「……あんたから言われたいのに」

 録音しておきたかったな。さっきの。

「つぶされる」
「どいて欲しいか」
「氷河くん……それは……ヒキョウ」

 離れろって言わないのわかってて聞いてない?

「お前だってな。俺のこと名前で呼ぶの卑怯なんだよ」
「どこが」
「呼ばれるたびに理性削られてく」
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